「そんなに血吸われるの、気持ち良かった?」
就職活動中の早乙女一花に声を掛けたのは、化粧品会社の若き社長・天宮樹だった。その人間離れした容姿に一花が見とれていると、天宮は自分が≪吸血鬼≫だと言い張って…?冗談だと思っていたのに、天宮に血を吸われた途端、一花は身体中の力が抜けてしまい……
「お前の血…格別だね。――気に入ったよ」天宮の甘美な毒牙に、甘くとろける一花。つまみ食いをするみたいに私を抱く彼はどこまでも美しく妖艶で、目が離せなくなって――…。
――吸血鬼の執着がどんなものか、たっぷり味わわせてあげる。
極上の血を前にして露わになる天宮の悪癖。
それが彼の心を溶かす≪恋≫の始まりだとも知らずに…。
財閥の令嬢から縁談の話が来た天宮。対して私はただの「秘書」で「食事」。
分かっていても、彼を好きな気持ちが止められなくて…